ペットを亡くすということは悲しいこと
父が動物が大好きということもあり、子供の頃は常に動物が家にいる家庭でした。
その中でも1番長生きをした、私自身の思いの強い子は、小学生の頃から飼っていた犬です。
15年ほど生きましたが、最後は癌で亡くなってしまいました。
亡くなった頃、私は社会人で、飛行機で移動する距離の場所に住んでいました。
年に数回しか会いに帰れずに、亡くなったのも電話での報告でした。
癌だったということで多少の覚悟はしていたつもりですが、やはり亡くなったのはショックで、仕事の合間にこっそりと涙し、悲しむ日々がしばらく続きました。
それから数年後、1人暮らしをしていた私は仕事もスランプ、恋愛も上手くいかない、と全てが壁にぶちあたって挫折を経験していました。
ペットショップでの運命の出会い
そんなある日、休日にふと思い立ってペットショップへ。
その時はウサギに癒しを求めて、あわよくば飼ってみようかな、と思っていました。
店内に入って、まず目に飛び込んできたのは1匹の子猫。
スコティッシュフォールドの女の子でした。
1匹でコロコロ転がって遊ぶ姿が、なんとも愛らしく一目惚れしてしまいました。
ただ現実的に猫を飼うのは無理かな、とその場はその子を見るだけで我慢しました。
ですが帰宅してからも、その子猫のことが忘れられず・・・。
何度も何度も考えて数日後、またペットショップへ会いに行くことにしました。
その時には既にウサギのことなんて全く頭になく、お目当ての子猫に直行です。
そして値段を見て、「よし!買える!」と飼うことを決めました。
今ではスコティッシュフォールドは高額ですが、その時はなぜか、独身の私が手が出せるほどの値段で販売されていました。
初めての子猫のお世話は大変であるが、楽しくもある
それから数日、色々な物品を揃えて準備をし我が家へ。
猫を飼うことを自体が初めてだったので、猫についても猛勉強をしました。
まだまだ小さな子猫。
ご飯も離乳食でした。
ただめんどくさいや大変だな、といった思いは一切ありませんでした。
離乳食を作るのも楽しい、トイレ掃除も楽しい、朝早くからご飯の催促で起こされても可愛い、もう可愛くて仕方ありませんでした。
猫の戯れ方、ゴロゴロと喉を鳴らすしぐさ、ツンデレ具合、全てが初めてのことで新鮮でした。
猫が我が家に来てからは、仕事もなんだかやる気が起こり、毎日が楽しく、生活が一変しました。
それからしばらくして、転職のために飛行機の距離の実家へ帰ることになりました。
もちろん猫も一緒です。
すぐに単身のマンションよりも広い実家にも慣れ、毎日家中のパトロールに勤しむ日々。
単身の狭いマンションでは、出来なかったことがたくさん出来るようになり、猫にとってもよかったのかな、と思っています。
慣れてくると、日向ぼっこをしに庭に出るようになりました。
実家の庭限定で、それ以上外に出ようとはしなかったです。
いつも目の届く場所で寝そべって、気持ちよさそうにしていました。
あまり外には出したくありませんでしたが、その姿が幸せそうで、野良猫も来ないから、と大目にみていました。
幸せそうな猫の表情や仕草を見るのも楽しみで、私の至福の時間でした。
急な別れと悲しみの日々
それから数年後のある日、仕事終わりに実家から携帯へ連絡があり、猫が亡くなってしまったことを聞きました。
はじめは何を言っているのか理解できずにいました。
両親から、家の庭でいつものように日向ぼっこをしていると、突然散歩中の大型犬が乱入し、猫に噛み付いたとのこと。
急いで動物病院へ連れて行きましたが、手遅れだったことを聞かされました。
あまりにも突然の別れで言葉が出ず・・・。
以前飼っていた犬のように、何か病気を告知されて、別れを多少なりとも覚悟してからの別れとは違います。
噛み付いてきた犬に対しての怒り、しっかりリードを持っていなかった飼い主に対しての怒り。
飼い犬を制御できない人間が何故ペットを飼うのか、飼う資格はない、とただただ怒りしかありませんでした。
そして庭に出て日向ぼっこをしている姿を、微笑ましく見ていた自分に対しての怒り。
何故外に出ることを許してしまったのか・・・。
庭意外には行かないから大丈夫だろう、野良猫もいないから大丈夫だろう、と黙認してしまったことをとても後悔しました。
時間が経ってようやく、猫にとっては外の空気を吸うこと、外で気持ちよく過ごすこと、あの幸せそうな顔を思い出し、少しでも幸せでらいてくれたかな、と思えるようになりました。
離乳食期の子猫の頃から、大切に思って育ててきたかわいい飼い猫。
思いもよらない突然の別れで、しばらくは仕事中も隠れて涙を拭ったりと悲しむ日々が続きました。
今では一緒に過ごせた時間は幸せだったなと思えます。
悲しみを乗り越えて新たな家族を出迎える
あれから10年近く過ぎましたが、今は同じスコティッシュフォールドの猫が我が家にいます。
これも何かの縁なのかなと思います。
姿は似ているのですが性格は真逆です。
今では子供たちに囲まれて、子供たちが泣いている時はすぐに側へ来て寄り添ってくれます。
生まれ変わりということはないでしょうが、重なる部分も多々あります。
別れがまたいつの日か来ると思いますが、あの時の猫と同様、それ以上に今後も大切に育てていきたいと思います。