野良猫の可愛い子猫がやってきた
兄が大学生の時に、拾ってきた野良猫が我が家の愛猫になりました。
兄の大学では猫を飼うのが流行っていたそうです。
それでも、全く猫を飼ったことのない兄が、小さな雄の子猫を肩に載せて帰省した時は、ただただ驚きでした。
しかし兄は就職後、しばらくホテルに缶詰めの生活になるので、実家で預かって欲しいとのことでした。
動物を飼うことに憧れがあった私は、すぐに猫を抱こうとしました。
しかし猫はすぐに脱走してしまい、想像していたペットライフとは全く違いました。
夜、一緒に寝たり、たくさん抱っこしたりを想像していましたが、子猫はひたすら動き回るのだと知りました。
猫にくっついてやってくるノミ
そんな日々を過ごしていたら、母と私だけがものすごい痒みに襲われました。
猫ノミを知らなかったのです。
皮膚科に行くと、アパレル関係の会社で事務をしている私は、輸入繊維の害を疑われましたが、母は猫ノミを疑われました。
猫が苦手な父は猫を触らないので、被害を逃れました。
早速、動物病院に連れて行き、去勢手術やノミ退治の話を聞きました。
ノミ退治は耳に垂らす目薬のようなものです。
後日、去勢手術をして、やっと我が家の愛猫になりました。
動物病院の先生曰く「猫の中でも特に神経質。人間並みに神経質」との事でした。
猫初心者の私は「へぇ、そうなの」位にしか思いませんでしたが、後々「この事か。」と思う事が多々ありました。
野良猫でしたが、トイレは兄が躾してあったので問題無しでした。
困ったのは噛みつき癖です。
特に手足に噛みつくので、何度歯形がついたか分かりません。
こればかりは躾できませんでした。
とても過敏で、少し尻尾に触れただけでもガバッと振り返って噛みついてきます。
かわいいけど、噛みつかれるのは勘弁です。
愛猫は神経質?
中でも大変だったのは病院での予防接種です。
病院を覚えているようで、病院に入った途端、聞いたことのない唸り声で他の動物を威嚇します。
優しい看護師さんが可愛がってくれても、威嚇したり噛みつきます。
先生も「この子は本当に神経質だ」と苦笑いでした。
家では、猫用トイレがキレイにしてないと排尿排便を我慢したり、トイレを外でするので、トイレの掃除にはこちらが神経質になっていました。
実際、母と私が海外旅行中に、父が掃除をサボっていたら、トイレでない場所でやられてしまったのです。
父には「猫は神経質だから、ちょっとでも汚いとしないよ」と言っておいたのですが、面倒くさがりな父は「オシッコは1つしかやってないから大丈夫だろう」とサボったのだそうです。
母と私の旅行1日目にやられたので、次からは経験を生かして掃除をマメにやったそうです。
年を取ることでさらに神経質に・・・
しかし愛猫もだんだん年を取り、今まで以上に神経質になりました。
それまでは1泊旅行程度でしたら、トイレを何個か用意して旅行に行っていました。
猫はオシッコが出ないと死んでしまうので、長期旅行の時は動物病院に預けることにしました。
先生も看護師さんも本当に良い人なので、快く迎えてくれるのですが、愛猫は相変わらず威嚇しています。
1回目に預けた時は先生に「神経質でこちらをすごく警戒している」と言われました。
2回目に預けた時はご飯を食べなかったそうで、次はもう預けるのをやめました。
家では放し飼いでのびのび生活しているのに、預けられるとゲージなので、ストレスも大きかったのだと思います。
さすがに可哀想だし、先生や看護師さんも大変なので、それから泊まりの旅行に行くことはなくなりました。
野良猫の時代に、何か怖い思いをしたのかも知れませんが、人間も猫も気質的な部分は変えられないので仕方ないです。
それでも1番かわいい大切な家族で、家族全員が大好きです。
長生きした愛猫もとうとう・・・
そんな神経質な愛猫にも、ついに天国に行く時が来ました。
享年18歳です。
最期は癌になり、2度手術しても治りませんんでした。
神経質だったはずなのに、コタツの中でお漏らしをしたり、トイレでない場所で失禁してしまうので、オムツを付けました。
可哀想な姿で、涙が止まりませんでした。
旅立ちの時、母の膝の上で3度ほど深くため息をついて、その後動かなくなったそうです。
家族に見つからない場所で亡くなると言われる猫が、母の膝で亡くなってくれたことは本当に嬉しかったです。
動物病院にも報告したら、看護師さんが一緒に泣いてくれて、なんて幸せな猫なのだろうと思いました。
更に驚くことに、帰宅すると動物病院から愛猫宛のお花が届いていたのです。
先生も看護師さんも忙しい中、ここまでしてもらえたことが本当に嬉しくて、悲しさが随分と和らぎました。
神経質だったけど、皆に愛されていたのだと実感しました。
人も猫も、たくさんの人に愛され、大切にされるということは幸せこの上ないと思いました。
そしてどんなに苦しく、悲しくても、人によってそれが和らげられることも知りました。
棺には動物病院からのお花を全て入れて、送り出しました。
猫は亡くなると、虹の橋で主人を待つと言われます。
父母は「愛猫が待っていると思うと死ぬのが怖くない」と、愛猫との再会を楽しみにしながら、孫を可愛がっています。