「ジャックラッセルテリア」という犬種をご存知でしょうか?
『マスク』という映画に登場する「マイロ」という犬や、アナウンサーの小倉智昭さんがかつて『飼ってはいけない!』という本を出版されて話題になった、とてもやんちゃな犬種です。
そんなことはつゆ知らず、私はたまたま通りがかったペットショップで、ジャックラッセルテリアの子犬を見つけ、そのキュートなルックスに見事なまでにハートを打ち抜かれ、まんまと飼うことになりました。
ふわふわの白い毛に短い足、茶色のたれ耳とくりくりの瞳は、本当に可愛らしかったのです。
しかしながら、その天使のような外見とは裏腹に、いざ飼い始めるとジャックラッセルテリアは厄介なことばかり。
小型犬のサイズにもかかわらず、大型犬にケンカを売り、そこらじゅう縦横無尽に走り回り、まったく物怖じしないその態度!
まさに『飼ってはいけない!』犬だったのです。
縄張り意識が強く、毎日家中をパトロール、ストレス発散のために無駄吠え、せっかく買ってきたおもちゃも一撃で破壊されます。
ジャックラッセルテリアは見た目と違うことが多い
しかも、毎日の運動量が半端じゃないんです。
足の筋肉が非常に発達しているので、ふいにお腹の上をポンと踏まれただけで、肋骨が折れたかと勘違いするほどの衝撃が走ります。
頭もかなりいいのですが、それは決して従順という意味ではなく、ずる賢いんです。
絶対に聞こえているはずなのに、都合の悪いときは、こちらの言うことが聞こえないふりをします。
飼いはじめの頃は「ご主人様」なんて意識は毛頭ありません。
「俺はいつでもやってやるぞ!」と言わんばかりの、そんなジャックラッセルテリアとの生活は、飼い主も試されている、そんな感覚でした。
ジャックラッセルテリアは人をよく見ている
ここまでくれば、そんな犬は飼いたくないという方がほとんどかと思います。
でも、そんな欠点も魅力に感じるほど、この犬種はとっても愛らしいのです。
その理由は「空気が読める」犬であるということです。
家族がケンカをして、家の中がいかにも険悪なムードのとき、我が家の愛犬はリビングから遠く離れた玄関の隅の方で小さくなり、いかにも「かわいそうな犬」を演じます。
例えば感動ものの映画を見たり、何か悲しいことがあったりして泣いているときは、そっと寄り添い、おしりをくっつけて、ただそこにじっとしていてくれます。
自分のしたイタズラを家族が話題にしているときは、罰が悪そうな顔をします。
長くお留守番させてしまった日は、それまで悠々自適に一人を満喫しているのに、玄関を開けた瞬間から「とても寂しかったんだ…」と言わんばかりに、震えているふりをします。
散歩中、若くてかわいいお姉さんに「かわいい~!」と声をかけられれば、さっきまで気が狂ったかと思うほど、大型犬にケンカを売っていたのがウソであるかのように、ウルウルの瞳で見つめてしっぽを振っていきます。
思わず突っ込みをいれたくなるような、人間らしいそのずる賢さと愛らしさに、本当に魅了されてしまうのです。
飼ってはいけない犬はこんな方にはオススメ出来ない
犬は犬らしく!
素直で大人しくて、いついかなるときも飼い主のことを一番に慕ってくれる・・・。
そんな犬種を望まれるのなら、ジャックラッセルテリアは全くおすすめしません。
きっと『飼ってはいけない!』犬なのでしょう。
でも、底抜けに元気でやんちゃで、ずる賢くて個性的なこの犬種は、他の犬種にはない魅力があります。
飼う方も驕らず、真摯に向き合えば、その分、いやそれ以上にきちんと応えてくれる犬種でもあります。
犬だって各々性格がある、やりたくないことはやりたくないし、楽しいときはとことん楽しみたいんです。
飼い主であろうと、理不尽なことや自分勝手なことをしたら許さない!
そんな大切なことを教えてくれます。
あなたも禁断の『飼ってはいけない!』犬、飼ってみませんか?