犬や猫を飼ってみた体験談をご用意しております

あの可愛さ、賢さは飼い主にしかわからない

大型犬のジャーマン・シェパード

 

子供の頃から犬が大好きだったのですが、高校生の頃、大型犬に憧れてジャーマン・シェパード犬のメス犬を飼い始めました。

 

純血種の犬を飼ったのは初めてなんですが、正直に言うと子供の頃は可愛くない、特に大型犬って大きくなるので足が太いし耳はたれてるしで、大人になってなんぼという感じだなと思いました。

 

それに元気いっぱいで飛びつくし、力がいるんですよ。

 

大きな足で芝生を掘って、敷いたばっかりのところをはがすわ、泥だらけの足で家の中に入って来ると半端じゃなく汚れるわ、それに閂みたいなタイプの庭と犬舎へ入る扉の鍵は鼻でくいっと開けるしと、体でっかい上に頭も良いわの今まで会ったことのないわんこでした。

 

私は、大きな犬と並んで歩くというのに憧れていたんですが、これがなかなか引っ張ってくれるので、歩いて散歩するということが出来ずにいました。

 

でも、いつも話しかけていたのですよ。

 

ゆっくり行ってねって、それを理解したらしくて、並んで歩くというほどじゃなくても、私が走り出すとこの子ったら、思いっきり走るんじゃなくて、手加減してゆっくり走ってくれるのがわかりました。

 

がさつなようで、話が通じる、真っ黒で大きな顔のかわいいやつは、散歩しているときも、ときどき私を見上げて、えへへって目を合わせて笑ったりしてるんですが、出会った人はみんな怖がって除けて通るのですね。

 

私にしかこの子の可愛さはわからないだろうなと、人に理解されない愛ってあるんだなとかみしめていました。

 

ジャーマン・シェパードのバロン君

 

この子がまだ1歳にならない頃、でっかい雄のジャーマン・シェパード犬を連れたおじさんに声をかけられたことがありました。

 

バロンという見るからに賢そうなその犬を見て、うちの子は怖がって私の後ろに隠れて、キャンキャン吠えたんですが、バロン君はうるさい、といわんばかりに「わん」と、一声吠えました。

 

おじさんはそれを見て、「こら、お前のほうが大きいじゃないか」というと、バロン君は「若い女の子の前で良いかっこすんなよ」とばかりに、不満そうにしてたのがありありでした。

 

バロン君は、英語で号令をかけてお座りや伏せをして見せてくれましたが、得意そうなおじさんを横目に見て嫌々やっている感じで、私にも頭をなでさせてくれましたが、まるで人間みたいな印象がありました。

 

不思議なことは、おじさんがそのときに「バロン君が水道をひねって水を出して飲む」という話をしたのですが、次の日、うちの裏庭に放し飼いにしていたうちの子が、蛇口をひねって開けたとしか思えない出来事が起こったんですね。

 

まさかとは思うけど、話を聞いてやってみたのかも。

 

こういう感じで、たしかにいつも話しかけてはいたんですが、しつけや訓練で教えたのではなくて、見よう見まねでやったのかなとか、そんなこと教えていないのにという出来事も多かったくらい、賢いところもありました。

 



ジャーマン・シェパードは賢いようです

 

私もしつけや訓練の本を読みまくって、色々やってみたんですが、バロン君のおじさんに訓練を受けさせるようにすすめられたので、訓練所に預けて初級訓練は合格してきました。

 

が、たったひとつ、私の言うことを聞いてくれないことがありました。

それは、「待て」をやってくれないんですね。

 

出来ないんじゃなくて、「待て」と命令すると、明らかに「いやだ」と言ってそのたびに飛びつくんです。

何度やってみてもだめで、私と離れるのが嫌だということらしかったです。

 

それに、教えてないと言えば、私が種をまいて育てた草花(ハーブ)が小さなビニールポットでテラスに置いてあったのですが、これを犬舎からずっと見ていたようです。

 

ある日、ご飯のときに普段はそんなことしないのに、するっと扉をすり抜けて、ビニールポット群に突撃、鼻を押し付けてくんくん嗅いでいました。

 

私はそれを見て、これはあの大足でどしどし踏んずけられて、ビニールポットもハーブも全部だめになると悲鳴を上げました。

 

「だめえ!」と言うと、うちの子はこっちを向いて、信じられない行動に出ました。

なんと、ビニールポット群に前脚を入れたのを、ぐいっと後ろへそのままジャンプしたんです。

 

なので、2つそれも部分的に大足の跡がついただけで、全部無事だったんですね。

 

私が大事にしていることがわかっていて、あの不器用な子が壊しちゃいけないと気を使ってくれたのはいまだに忘れられないです。

 

賢いけれど頭は固かった

 

賢いけれど、やたらと頭が固くって、散歩に行くときいつもと違う方角だと、私の前に立ちふさがって違うと言ったり(でも最後は私が説得して違う方角へ行ったけど)、頑固なところはありました。

 

でも先輩犬のご飯のときはちゃんとドアに入らず遠慮したりと、意外に気を使うところもあって、家の中で飼って、もっともっと接触していればいっそう賢いところがわかったのかもしれないと思ったりします。

 

真っ黒な背中の毛をポンポン叩くと外飼いなのでほこりが立つのを見て「叩けばほこりの出る体」なんてギャグかまして悪かったなあ、反省したりしてます。

 

色々あってこの子が亡くなった後はもう犬は飼ってないです。

 

今日、久々にそっくりのジャーマン・シェパードを見て懐かして涙出ました(オスの警察犬だったけど)。